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2007年6月 4日 (月)

異邦人の禅寺

岡山市街中心部から東方へ約3kmのところに、標高130~170mの小高い丘陵があり、
なだらかな起伏を繰り返しながら、東西方向に4km程連なっています。

操山(みさおやま)と呼ばれるこの丘陵地には、古い民家や畑、竹林や雑木林など、
昔ながらの里山の佇まいが今も残っています。
丘陵全体にわたって、色々な散策コースが整備されており、
岡山市街や児島湾などが見渡せる眺望スポットも数多くあります。

市街地から歩いても行ける距離に、まだこんなにも自然がいっぱい残っているのかと、
大阪出身の私は、初めて訪れた時には少々驚きました。

また、この操山には、豊富な自然の他にも、
古墳群や古寺・古社など、歴史的な見どころも数多く残っており、
市内はもとより県下全域から、多くのハイキング客を集めています。

本日はその見どころ中から、備前の国髄一の禅寺として名高い、護国山曹源寺をご紹介します。

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【曹源寺:総門前】

曹源寺は、岡山城主池田綱政が父・光政と高祖父・信輝の菩提を弔うため、
家臣の上阪外記に命じて、元禄11年(1691)に建立した寺院です。

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【総門から三門へ】

綱政は、先祖の弔いと同時に、自身の寿蔵(墓)も境内に造営し、
以来、岡山城主の墳墓は当地で営まれてゆく事になります。
開山にあたっては、名僧・絶外(ぜつがい)和尚を迎え、
臨済宗妙心寺派の大禅寺として、後代にわたって大変栄えました。

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【本堂から三門を見る】

池田藩政の時代には、寺領として備前円山村山崎の田畑、山林など260石を与えられ、
10,700㎡の広い境内には、総門・三門・本堂方丈・開山堂・経堂・禅堂・書院・庫裡・鐘楼など、
20棟に及ぶ建物が、禅林にふさわしく、いかにも荘厳な雰囲気で立ち並んでいます。

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【本堂】

本堂は、桁行7間、梁間6間、重層入母屋造・本瓦葺の大建築で、県内最大の規模を誇ります。
建立当初の本堂は安永9年(1780)に焼失しており、現在の本堂は文政7年(1824)の再建。
残念ながら内部は拝観できませんが、正面の仏壇には、本尊十一面観音(平安中期の作)を中心に、
左側に綱政、継政、宗政、右側に治政、斉政、斉敏の歴代藩主の等身大の木像が、
壮麗な厨子に安置されているそうです。

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【開山堂】

堂舎群の東側には、絶外和尚と池家老・津田永忠が造園した池泉回遊式の禅庭が広がっています。

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【庭園:心字池】

この庭園を抜け、裏山への石段を登ると、広大な池田家墓所があり、
巨大な墓石が整然と並ぶ様子に、往時の池田家の権勢を垣間見た様な気がしました。

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【石燈篭と経堂】

現在の曹源寺は別名「外人寺」と呼ばれており、
滞在10年以上の50歳代の長期修行者から、20歳代前半の若者まで、
常時20~30名ほどの外国人男女が禅修行に専念しています。

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【開山塔】

ドイツ、スペイン、フランス、ポーランド、アメリカ、カナダなどの欧米諸国から、
インドや台湾などのアジア諸国まで、世界各地から修行者は集まっており、
日本人は住職の原田正道老師だけしか居ないそうです。

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【異国からの修行者】

また、本格的な修業とは別に、毎日曜日には「日曜坐禅会」が開かれており、
修行僧の方が座禅指導にあたっておられます。

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【坐禅堂】

参加資格は特に無く、料金も一切無し。
多くの禅に興味のある方が、ここで座禅を体験されています。

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【坐禅堂】

この日も、いつもの様にカメラ片手にぶらぶらと、散歩気分で立ち寄った曹源寺でしたが、
新緑の木立に包まれた、清浄な禅の道場を歩き回るうちに、
しだいに心が洗れ、仏の教えの一端に触れたような不思議な気持ちになりました。

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【総門前参道の松林】

最後に、私が非常に感銘を受けた原田正道住職の講話の一説をご紹介し、
締めくくりとしたいと思います。

 心を水のように使いましょう。
  心は、形ではありません。
 たえず働き、生きています。

 春になれば、心は春になり、夏になれば、心は夏になります。
 心は、固定したものではなく、たえず変化していきます。
 ちょうど、水が停滞することを嫌い、すきまなく流れ、
  どこへでも流れて行くように、心は自由です。

 心を広く、柔軟に、自由に、天真爛漫に、
 水のように使いましょう。

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コメント

転勤族ですので、うちの二人の息子はどちらも北鎌倉・円覚寺の幼稚園卒です。
円覚寺も禅宗で(臨済宗ですが)厳しい戒律で知られています。
幼稚園の園長先生やときどきアシストに入ってくださる雲水さんたちを通じて、彼らの生活がいかに清貧で志が高いか知りました。私自身はキリスト教の幼稚園、中高大もキリスト教だったのですがとても良い経験をしたと感謝しています。
北鎌倉にこういうお寺があったらマスコミの餌食ですが、岡山にあるのですか・・・
素晴らしいことです、禅の教えは世界各国に広まっていますから。
yufukiさん素晴らしい写真が撮れましたね!青い眼の修行僧などめったにお会いできるものではありませんもの。

ところで東大阪のご出身ですってね!
主人は3年東大阪支社に勤務していました(単身ですが)。
「まいど1号」応援しています!

投稿: きょんち | 2007年6月 4日 (月) 17時32分

きょんちさん
スミマセン、お返事遅くなりました。

外国人修行者の方の、質素な暮らしぶりと、
禅に対する真摯な姿勢は、日本人として頭が下がりますね。

>北鎌倉にこういうお寺があったらマスコミの餌食ですが、
>岡山にあるのですか・・・

私は今回訪問するまで、よく存じていなかったのですが、
雑誌やTV番組で幾度か取り上げられているそうです。

>ところで東大阪のご出身ですってね!
 
生まれも育ちも、東大阪。
ねっからの河内っ子です。

岡山もいいところですが、
離れてまた、生まれ故郷の良さがわかります。

投稿: yufuki | 2007年6月 5日 (火) 15時22分

こんにちは!
yufukiさんの写真は、いつ拝見してもピントピシャリで気持ちがいいですね。私のはいつもボーっとした感じになってしまいます。“腕”のほかに、レンズとか機材も違うのでしょうね。
それにしても、自然豊かなお寺さんですね。規模もかなり大きそうですが…。

投稿: kazuo | 2007年6月 6日 (水) 21時29分

kazuoさん
写真、お褒め頂き恐縮です。

>レンズとか機材も違うのでしょうね。

 ちなみに機材はPENTAXのK10DもしくはistDS2を使っています。
 レンズは、TAMRONの17-35mmと28-300mmの2本のみです。
 撮影はRAWで行い、SILKY PIXで現像。
 縮小は縮小専科PROFESSIONAL EDITIONを使っています。

>自然豊かなお寺さんですね。規模もかなり大きそうですが…。
 
 敷地はかなり広く、今回写真にはない三重塔や墓所などを含めると、
 道に迷いそうなくらいです。

投稿: yufuki | 2007年6月 7日 (木) 22時50分

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