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2007年6月 8日 (金)

忘却の塔

岡山市街地のすぐ東側広がる独立丘陵「操山」(みさおやま)には、
先日ご紹介した曹源寺のほかにも、多くの神社仏閣が鎮座しています。
本日は、先日曹源寺を訪れた際に立ち寄った、瓶井山(みかいさん)禅光寺安住院を紹介します。
寺伝によると、禅光寺の創建は天平勝宝元年(749)。
報恩大師によって建立された備前四十八ヶ寺の一つとされる真言宗の古刹です。

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【安住院】

もとの寺中には、禅光寺の本坊である安住院を中心として、
堯王院・蓮華院・理證院・法明院・閑安院・歓喜院・万徳院・伝経院・金蔵院・明寿院・中蔵院・普門院の、
12に及ぶ塔頭(たっちゅう)があり、、瓶井(みかい)の谷は僧坊で埋まっていたと伝えられています。
また、近郷に数多くの末寺をもち、備中における真言宗の中心的勢力として栄えました。
しかし、江戸末期より寺はしだいに衰微、塔頭の諸院は廃寺となり、
現在は本坊の安住院と普門院が残るのみとなっています。

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【仁王門】

旧参道(現在は生活道)を登ってゆくと、先ず目に入ってくるのが、
「瓶井(みかい)の赤門」とよばれる仁王門です。仁王門は康正2年(1456)の建立で、県内最古の楼門。
木割りの太さ、軸部の朱塗り、虹梁(こうりょう)や木鼻(きばな)の形式など、
室町後期の楼門の特徴をよく伝えている名建築で、国の重要文化財に指定されています。

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【安住院境内】

仁王門から約200m行くと、安住院の境内があり、
鐘楼門・本堂・薬師堂・大日堂・牛王所堂・庫裡などが建ち並んでいます。

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【鐘楼門】

境内入り口に当たる鐘楼門は、一見して上部と下部がアンバランスな造りになっています。
案内によると、大正時代に下部を改造したとのこと。
安住院では、明治の頃まで、有名な西大寺観音院の会陽と同様の、
裸の男衆が宝木を奪い合うお祭りを行っていたらしく、
それを偲んで西大寺の竜宮門をまねて、元あった鐘楼を改造したようです。

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【本堂】

入母屋造・本瓦葺の本堂は、棟札にある記録から、
慶長6年(1601)12月18日に建造されたことがわかっています。
しかし、当初建てられた位置は現在地よりも南方数百mの場所で、
先述の12の塔頭が整備される過程で、寛政12年(1800)に現在地に移築されました。

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【観音菩薩立像】

かつては12院を擁した大寺院も、安住院本坊だけを見て回るには、半時間もあれば十分。
この日のお目当ては、当寺に保管されているという「竜の舌」でしたが、
公開されていないらしく、案内も何もありませんでした。
本当は鮫の鼻先らしいのですが、これを龍王堂付近の古池の水で洗うと雨が降ると伝えられています。
秘宝「竜の舌」を見られないならと、早々に安住院を後にしました。

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【十一面観音像】

帰宅後数時間経ち、ふと思い出したのが多宝塔の存在。
たしか、安住院には県下第2の規模の多宝塔もあったはず。
しかし、境内からみえる範囲にはに見当たらず、そのまま帰ってきてしまいました。

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【境内の紫陽花】

観光地図で調べてみると、多宝塔は境内には無く、歩いて10分ほどの山中にあるとの事。
下調べを怠った結果、後楽園の借景にもなっているという、有名な多宝塔を見落とす羽目になってしまいました。
また、近いうちに多宝塔を見てこようと思います。
何事も、ついでの仕事はろくな結果になりませんね。

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コメント

鐘楼門というのがすごいですね!まるで浦島太郎が行った竜宮城のようです。
当然この上には登ることができるのですよね?
円覚寺の門の上に一度上ったことがありますが、中は仏像がぎっしりでした。。。
(ちょっと怖いくらいに)
多宝塔は残念でしたね、私もどこかへ行くときは下調べをしないので(恥)
帰ってから「そうだったのか~!!」と悔やむことが多いです。
ただね、下調べすると絶対に主人と行きたい所がちがうので(笑)もめるんですよ。
ですから行くときはできるだけ向こうにあわせて(私にしては)おこうと思っています。
だってカメラ撮ってると、ただでさえめちゃくちゃ待たせるんで(>_<)

投稿: きょんち | 2007年6月11日 (月) 13時08分

きょんちさん
有難うございます。

>当然この上には登ることができるのですよね?

 はい、上ることができます。
 この門は、鐘楼を改造したものなので、
 上ったことはありませんが、
 上部は鐘がつけるようになっているはずです。

撮影中、待ってくれるなんていい旦那さんですね。
我が家の嫁さんは、撮影するなら一緒には行かないと仰います。

投稿: yufuki | 2007年6月11日 (月) 23時04分

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