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2007年4月 2日 (月)

港町玉島

先日紹介した沙美海岸から県道47号線を西へ進むと、程なく玉島の町に至ります。
その昔、海に浮かぶ島々が、まるで玉を散りばめたような美しさであったため、
当地の沖合いは「玉の浦」と呼ばれていました。
玉島や隣接する玉野市など、「玉」地名の由来はその辺りにあるようです。

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【玉島の町並み:紙問屋】

江戸時代になると、備中松山藩によって、その玉のごとき海は次々と埋め立てられ、
高梁川の河口にあたる玉島の地には、交易基地として港が造営されました。
元禄の頃には、玉島港は北前船と高瀬舟が行き交う商港として繁栄しました。

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【玉島の町並み:造り酒屋】

北前船とは、北海道から日本海沿岸を経由し、
下関から瀬戸内海を経て大阪へと至る北廻りの商船団のことで、
港から港へ、諸国の物産を交易しながら航海しました。

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【玉島の町並み:肥料問屋】

一方、高瀬舟とは、河川による内陸交易を支えた運搬船。
この地では、米、鉄、薪炭などの内陸部の物資を乗せて高梁川を下り、
帰りには北前船が運んできた物資や、沿岸部産の塩や綿織物を積み、
川岸から人が引っ張って高梁川を上っていきました。

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【玉島の町並み:畳屋】

玉島の町には、かつての繁栄の名残を留めたナマコ壁の家屋があちこちに見られ、
特に旧市街地の西側には、豪壮な回船問屋の土蔵や造り酒屋をはじめ、
江戸の姿そのままの見事な商家が建ち並んでいます。

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【玉島の町並み:土蔵】

この貴重な景観を後世に伝えるため、
岡山県はこの周辺一体を「町並み保存地区」に指定しています。
同じ倉敷市内にある美観地区などとは違い、全く観光地化されておらず、
華やかさこそありませんが、歴史的景観と現在の人々の暮らしが一体となり、
「町」として「現役」という感じがしました。

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【円通寺参道】

「高瀬通し」と呼ばれる運河に架かる橋を渡り、「町並み保存地区」を抜けると、
良寛が修業した寺として有名な円通寺の参道に至ります。

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【円通寺1】

円通寺は、奈良時代に行基上人が開いたといわれる曹洞宗の古刹。
中世の戦乱で焼失し、一時は荒れ果てていましたが、
元禄11年(1698)、曹洞宗の高僧、徳翁良高(とくおうりょうこう)が住職となり、
堂塔を再建、その際に寺名も円通寺と改られました。
以来、曹洞宗の高僧が相次いで住職になり、
備中の永平寺派の中心道場として今日まで栄えて来ました。

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【円通寺2】

良寛は安永8年(1779)、時の住職大忍国仙(たいにんこくせん)を慕って、
越後から円通寺にやってきました。
以来20年に近い歳月をこの寺で過ごし、
衆寮(現在の良寛堂)で20~30人の雲水達と寝起きを共にし、
厳しい禅宗の修行を重ねました。

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【良寛像】

書聖と謳われ、詩歌の道にも精通した良寛の大成には、
青年期から壮年期にかけての円通寺での修業、
特に国仙和尚の教えが大きく影響したといわれています。
さらに、当時の玉島は商港として繁栄の極みにあり、諸国の文人墨客の往来も多く、
先進的な文化風土の影響も、少なからずあったのではないか思います。

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【円通寺公園の桜】

円通寺がある白樺山(標高100メートル)周辺は、
円通寺公園(県指定名勝)として整備されており、
頂上からは、瀬戸内海の島々や四国連山を眺望する事が出来ます。
また、周辺には多くの文豪や歌人の詩碑や歌碑が残されており、
それを観て回るのも面白いと思います。

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【山頭火歌碑】

今はひっそり、歴史の表舞台からは姿を消した玉島~円通寺界隈ですが、
静かな佇まいの中に、豊穣な時間が流れていました。

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コメント

古いイメージの広告看板が気に入りました。

投稿: | 2007年4月 2日 (月) 08時33分

どなた様かわかりませんが、
御感想、有り難うございました。
非常に雰囲気のいい町並みでした。

投稿: yufuki | 2007年4月 2日 (月) 10時17分

こんにちは、しっとりとした佇まいの古い町並みが好いですね (*^-^*) 
岡山は私の行きたい旅先の対象から外れていましたが、
yufukiさんの岡山レポートを読む度に興味が湧いていってます♪

投稿: osanponeko | 2007年4月 2日 (月) 13時25分

こんにちは、しっとりとした佇まいの古い町並みが好いですね (*^-^*) 
岡山は私の行きたい旅先の対象から外れていましたが、
yufukiさんの岡山レポートを読む度に興味が湧いていってます♪

投稿: osanponeko | 2007年4月 2日 (月) 13時27分

ねこさん
有り難うございます。

岡山はぼっえーエエとじゃけー
いっぺんおいでつかーさい。

投稿: yufuki | 2007年4月 2日 (月) 22時07分

「玉島の町並み」、居ながらにしてその雰囲気を味わうことが出来ました。是非後世にまで伝えたい景観ですね。投票!

投稿: kazuo | 2007年4月 2日 (月) 22時54分

kazuoさん
有り難う御座いました。
風情のある町並みを残すため、
地元の方もかなり努力されているようです。

投稿: yufuki | 2007年4月 3日 (火) 03時45分

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