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2006年11月 1日 (水)

湖の悲鳴

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本日の写真は児島湖、岡山市と玉野市にまたがる面積約1,088ha、平均水深2.4mの広く浅い湖です。

児島湖のあたりはその昔、「吉備の穴海」と呼ばれた遠浅の美しい海でしたが、

周辺の干拓地の農業用水の確保と排水改良のため、堤防で締め切られ人工湖となりました。

もともと、児島湾は百間川、旭川、高梁川の沖積作用で干潟が発達しており、

大規模な干拓が可能な条件が整っていました。

そのため、干拓の歴史は古く、江戸時代にさかのぼり、

明治時代には湾内7000haのうち5500haの大規模干拓事業が開始され、

昭和38年(1963)には、その全てが完成しています。

その前年、昭和37年(1962)に、児島湾の一部が締切り堤防によって遮断され、淡水の人工湖、児島湖が誕生しました。

しかし、淡水化以降、水質の汚濁は悪化の一途をたどり、かつての宝の海は写真のような惨状。

有機物の汚濁量を示すCOD(化学的酸素要求量)は昭和50年(1975)当時で11ppm、

環境基準値(5ppm以下)の2倍以上にまで悪化しました。

その後、写真の看板にあるように人口葦原を作ったり、湖底のヘドロの浚渫工事などを行い、

現在COD値は8~9ppm 程度まで下がりつつありますが、

印旛沼などと並んで、全国湖沼ランキングのワースト3に上げられる湖になっています。

湖水が入れ替わりにくい閉鎖水域であるため、汚濁が進行しやすく、

さらに、流入河川流域の都市化や生活様式の変化により、児島湖を取り巻く環境はますます厳しくなっています。

汚れの原因の主たるものは、家庭・工場・畜産場・農地等からの排水ですが、

この中でも、日常生活に伴って各家庭から流される生活排水が最大の原因です。

岡山県も、児島湖の浄化を県政の重点施策として取り組んできましたが、

莫大な税金を投入しても従来の対策では、基準達成の見通しが立たないのが現状です。

県は、昭和61年(1986)からは5年ごとに水質保全計画を立て、下水道整備や浄化槽の設置などの事業を進めてきました。

その事業費は第1期が856億円、第2期1,926億円、第3期1,698億円、

今年の3月で終了した第4期は981億円で、事業費総額は5,461億円にのぼります。

第5期(平成18~22年)の計画は策定中だそうですが、従来の例に従えば1,000億規模になると思われます。

今後も巨額の税金投入が続き、県民に大きな負担を強いることになる為、

地域の住民団体や漁業関係者は、水門を開いて海水の浄化力を利用するなど、抜本的な対応を求めています。

しかしながら、ここまで状況が悪化し、その後も改善の見通しが立たないのは、行政の責に拠るものだけなのでしょうか?

地域住民を含めた県民全体が、児島湖のこの有様を見て何を思うのか?

このゴミの山の責任は、一体誰にあるのか?と、問いかけたい気持ちになりました。

行政任せで、結果を批判するだけではなんともならないような気がします。

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