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2006年9月17日 (日)

山頂の要塞

060917cocolog

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岡山県高梁市には、名城として名高い備中松山城が、建築された当時の姿のままで残っています。

天守が現存する城郭としては、「日本一高い場所(標高430m)にあるお城」としても有名です。

高梁市の北端には、臥牛山(標高480m)が市街地を見下ろすようにそびえており、

この山は、北から「大松山」「天神の丸」「小松山」「前山」の四つの峰からなっています。

南から見た山容が、草の上に伏した老牛の姿に似ていることから臥牛山と呼ばれ、

備中松山城の領域は、その頂を中心に全域に及んでいます。

この城の歴史は古く、鎌倉時代の延応2年(1240)までさかのぼり、

有漢郷(現:高梁市有漢町)の地頭に任ぜられた秋葉重信が、

臥牛山のうちの「大松山」に砦を築いたことが始まりとされています。

その後、城の中心は「小松山」に移り、城の領域は時代と共に変化しますが、

なかでも、天正2年(1574)に起こった「備中兵乱」の時には、

「砦二十一丸」と呼ばれる出丸が築かれていたことが記録として残っており、

臥牛山は一大要塞となっていたことがうかがえます。

「備中兵乱」とは戦国時代末期に、当時の備中松山城主であった三村氏と、

備前の宇喜多氏との間に勃発した争いで、この地方で起こった最大の戦として語り継がれています。

表面的には三村対宇喜多の争いですが、実質は毛利と織田の勢力衝地点で起こった代理戦争でした。

永禄4年(1561)に、毛利氏の後ろ盾を受けた三村家親がこの城に入城。

しかし、その5年後の永禄9年(1566)には、家親は宇喜多直家によって暗殺されてしまいます。

三村家親の子・元親は父の敵を討つべく、2万騎の軍勢を率い備前に進攻し、宇喜多直家に挑みますが、

わずか5千騎の宇喜多軍勢の前にあえなく敗退(明禅寺合戦)、備中における三村氏の威信は失墜しました。

しかし、またもや毛利氏の支援を受け、元親は元亀(1571)に悲願の再入城を果たします。

その後天正2年(1574)に、その毛利氏が不倶戴天の敵である宇喜多氏と手を組んだため、

元親は家臣の反対を押し切り、織田信長と同盟を結び、毛利氏・宇喜多氏と備中各地で戦うこととなります。

しかし、戦局は次第に不利となり、周囲の端城を次々と落とされ、追い詰められた織田・三村軍勢は、

毛利・宇喜多の連合軍八万余騎を相手取り、備中松山城で籠城戦を展開するに至ります。

天正3年(1575)、多勢に無勢の持久戦に耐え切れず、ついに難攻不落の要塞も落城。

『人といふ 名をかる程や 末の露 きえてぞかへる もとの雫に』

という辞世の句を残して元親は自刃し、短い生涯を終えました。

三村氏が滅んだ後も、毛利氏の東方進出の拠点として、また、毛利氏が防長二国に退いてからも、

備中国奉行として赴任してきた小堀正次・正一父子により修改築がなされるなど、

備中の要衝としての役割を担っていたようです。

この地は山陰と山陽を結び、東西の主要街道も交差する要地であるためか、

その後も激しい争奪戦が絶えず、以降、池田氏、水谷氏、安藤氏、石川氏、板倉氏と、

目まぐるしく城主が交代し、明治維新を迎えます。

現存する天守などの建造物は、天和3年(1683)に水谷勝宗により修築されたものと伝えられています。

城内には天守の他、二重櫓、土塀の一部が現存しており、昭和16年(1941)には国宝に、

昭和25年(1950)の文化財保護法制定以降は、重要文化財の指定を受けています。

平成6年(1994)からは、これら重要文化財を中心に本丸の復元整備が行われており、

本丸の正面玄関ともいえる本丸南御門をはじめ、東御門、腕木御門、路地門、五の平櫓、土塀などが、

史実にもとづいて、忠実に復元されています。

登城坂の周囲は、高さ10m以上もある巨大で切り立った岩壁がそびえ、

昔日のつわものたちが舌を巻いた、難攻不落の名城の面影をうかがい知ることができます。

この日は、久しぶりの秋晴れ。

白い漆喰塗りの壁と黒い腰板のコントラスト、空の青に映える天守は荘厳で力強く、

また、天守から一望できる城下町高梁は、なんともいえない美しさでした。

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